セルフインタビュー。新刊「ティアドロップ」後編
7/25に発表した新刊「ティアドロップ」のセルフインタビュー後編です。
インタビュアーは那須野 穣(ナスノ ミノル)さん。
後半のインタビューでは、表紙や予告編、プロモのことを中心にお話を伺います。
前半はこちら。
「ここは精神科病棟。あなたは、自殺未遂をして、ここに運ばれてきました」
十四歳の少年は精神病院に入院する。反発し退院を訴えるが、担当医は長期の療養を勧める。周囲との衝突を繰り返しながら、少年は他の入院患者た ちと次第に交流し、とある少女が昔聴いたという、ある曲を探し始める。そして、自身と向き合い、失われた記憶、自殺未遂の理由を思い出そうとする。そんな 精神病棟での日々を過ごしながら、心を開き始め、周囲とも良い関係を築くのだが……。
──表紙も相変わらずオサレだよね。
あ、はい……。その、ナスノさんに言われると微妙ですが(笑)
──なにが?
だって、自画自賛というか(笑)
──でも、言われてるでしょう?
ありがたいことに。でも、前作の「アワーミュージック」のときからですよ。アレは自分でも、ちょっと上手くいったな、と思っていて。ゴダールさまさまですね(笑)
──今回の表紙は、これ、何の写真?
これは、点滴の袋ですね。ちょうど、プロローグのあとの、第一章のシーンで主人公が点滴されてます。
──中身はなんなの?
なんでしょうね(笑) 生理食塩水かなんかじゃないですか。
──オキシコドンじゃないんだ。
オキシコドンは点滴しちゃダメでしょう。ってコラ!
──咳止めブロン液?
だから!(笑) そういう危ない話題はやめましょう(笑)
──今回は予告編(?)も作ってたね。
はい。予約機能を使うってこともあって、書き終えてから発表までに、ちょっと時間的な余裕が出来たんですよね。
──どいうコンセプトで作ったの?
コンセプトは、予告編です(笑)。映画とかの予告編って、本編の印象的なシーンが繋ぎ合わされてるじゃないですか。抜粋というか。そんなイメージです。それを抜き出して、写真をつけて。というより、写真をつけやすいシーンを選んだというか。
──あれは自分で撮った写真?
違いますよ。フリー素材サイトから。「足成」というサイトです。このサイトにはすごくお世話になってます。表紙の写真もほとんどここからです。キーワード検索が出来るので、イメージに近い写真が見つけやすいです。例えば予告編1「月夜」なら、「月」で検索しました。
──結構みつかるもの?
そうですね。でも、そのままだとさすがにイメージとは違うので、加工はしてあります。
──こういうの作るのって、何使ってるの? フォトショ?
いや、Photoshopは持ってないので。写真の加工はMacに最初から入ってるiPhotoです。結構使えますよ。色味とか、白黒にしたり、ポジネガ反転とか。あと、トリミングしたり、傾けたりすると、けっこう写真の表情も変わるんですよ。
あとはオープンオフィスの画像描画でレイアウトします。フリーのフォントとかも使いますね。デフォルトだと、やっぱり限界があるというか、基本的なものとかはあるんですけど、ちょっと奇抜なものとかはないので。
──MSゴシックは使わない?
Macにないですから(笑)。デフォルトだとなんだろう、「IMPACT」ってのは、使いやすいかな。シンプルで良いです。ここらへんが参考になります。
──ランディングページも作ってたね。
でんでんランディングページですね。これで興味を持って貰ったっていう声も頂いて。僕としては意外だったんですけど。
──ブログもリリース前に更新してたね。「ティアドロップ発売まで、あと◯日!」みたいな。
あ、ええ。
──でも、「あと、3日!」で途切れるという(笑)
いやー、ほんとままならないですよ(笑)。本当は前日までやる予定だったんです。でも、やんごとなき事情というか。インディ会社員なもので(笑)
──なんかエピソード募集みたいなのもやってた?
はい。これですね。初瀬明生さん、永元千尋さん、広橋悠さん、牛野小雪さんに頂きました。ありがとうございます。
──募集はしたけど、景品とかはないのね(笑)
いや、はい。すみません。
──出費もあったしね。奥さんへの(笑)。
二桁万円ですからね(笑)。一桁万円なら良かったんですけど。一桁万円なら!
──えっと、じゃあ、そろそろまとめを。今回の「ティアドロップ」って、結局どういう作品なの?
うーん……。でも、子供ってなんだろう、大人ってなんだろう、ってのは一つのテーマじゃないですかね。はっきりと「これだ!」って説明出来ないから、小説として書いたんですけど。ただ、子供が感じる理不尽さみたいなもに、昔から違和感を抱いていて。
──理不尽さ?
そう。これ全然関係ないんですけど、芦田愛菜さんっているじゃないですか。天才子役とか言われていて。で、あの子の振る舞いとか、妙に大人ぶってて気持ち悪い、みたいな人って、わりといますよね? あれって、なんだかなーって思うんです。「大人の真似をしている」とか「賢すぎて可愛げがない」とか。でも、それっておかしくて、ようは「子供はバカなほうが可愛い」って言ってるようなもので。サンタクロースを信じない子供とか可愛げがないとか言う人もいるけど、頭の良い子供だったら、サンタクロースなんて信じないのが普通だと思うんですよ。よく考えれば判るじゃないですか。
──確かにね。
まぁ、信じてる子供が馬鹿だっていう気もないですけど。でも、子供って、別に「人間として未完成な状態」ってわけではないと思うんですよね。百歩譲って「社会人としては未完成」なら判るんですけど。でも、社会人が人間の完成系かって問われると、「?」じゃないですか。
──うん。それに「社会人」ってのも変な言葉だよね。
といいますと?
──だって、学校も家庭も「社会」の一部でしょ? でも、専業主婦(夫)だったり、学生は社会人とは言わないわけだ。でも、社会の中で生活している人なわけで。
そうですよね。だから「社会人」って、「働いている人」って、ことなんですよね。単に。
──そうそう。どこか「働いてないと半人前」みたいなニュアンスが付きまとうよね。
だから、発想が貧しいですよね。「働かざるもの食うべからず」的な。品がない。
──うんうん。って、話がズレてるけど(笑)
そうですね。
──とりあえず、これくらいにしておこうか。
そうですね。また、やりましょう。
(おわり)