電子書籍の思い出
初めて電子書籍を手にしたのはいつだっただろうか。
ガラケーをつかっていたとき、ふとしたきかっけで、ケータイ漫画みたいなものを買って読んだことがある。スマホのように画面が大きくないので、一コマずつ簡易的なアニメーションで遷移していくような形式だったように思う。戸田誠二さんの短編や、田村由美さんのBASARAなんかを読んでいた。一話ずつ買えて、キャリア引き落としだったから、クレジットとかの登録をしなくてよかった。
そうだ、確か風邪かインフルエンザで寝込んでいた時だったと思う。治りかけで、でも外に出る元気はなくて、でも退屈で。だから、たまたまバナー広告に出ていた作品が気になって、買ってみたのだった。よしもとよしともさんの短編もそれで読んだ気がするのだけれど、記憶違いだろうか。
紙ではない本を買った、一番最初だと思う。
スマホ(iPhone)にしてから一番最初に買ったのは、森博嗣先生のこの作品だ。
喜嶋先生の静かな世界 The Silent World of Dr.Kishima (講談社文庫)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/11/08
- メディア: Kindle版
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ハードカバーとほぼ同時に、電子書籍も出ていたと思う。2010年10月だから、日本向けのKindle端末およびアプリがリリースされる二年前だ。一つのコンテンツが一つのアプリとして売り出されていた。株式会社VOYAGERによる「T-Time touch」というものだったらしい。検索してみたら、こんなページがヒットした。
:: VOYAGER Press Release 2008::
Kindleと比べても遜色のない使い心地だったと思う。とくに不便だなとも感じなかったし、個人的にとてもグッとくる作品だったおかげもあり、「なんだ、電子書籍だって悪くないじゃないか」と印象に残った。「紙の手触りが〜」とか「紙に刻まれた歴史が〜」とか、そんなことは小説の魅力や本質には、あまり関係が無いのだな、と思った。なにせ、iPhoneを片手に、電車の中でこれを読んで、僕は涙したのだから。もちろん人前だったので、堪えたが。
ただ、紙の本の魅力だって、僕にも判る。文庫版が出たタイミングで、僕は同じタイトルを買った(おい笑)。なんとなく、手元に置きたかった(おいおい笑)。でも、それは本質じゃ無い。
思えば音楽だってそうだ。自慢じゃ無いけれど、やっぱりMP3とCD音源(WAVないしAIFF)は、聞き慣れた曲ならなおさら、その違いは判ってしまう。付属のイヤフォンでだって、MP3は音像が薄く、音自体が奥まったように聞こえる。それでも、胸を打たれるのことがあるのは、メディアの違いというのが、きっと本質では無いからだと、僕は思う。
なにも、自分が電子書籍しか出していないから、こんなことを書いているわけではない。いや、どう思ってもらっても構わないのだけれど。
愛フォン
数年ぶりにiPhoneを機種変した。アイフォンではなくアイフォーンだ。アイフォーンと打たないとiPhoneと変換してくれない。5sから8である。少し前に後輩に自分のiPhoneを見せた時に、「これなんすか?」「いや、iPhoneだけど? 5S」「5Sっすかw まだ使っている人いるんですねw」と言われた5Sから、8に変えた。失礼な奴である。こちとらお前がクソガキだった頃からのiPhoneユーザだっつーの。
僕はiPhoneが好きだ。好きだ、と思う。一番最初は3GSだった。今ではスマホで当たり前の様にウェブを見ることができるが、ガラケーの頃はまともに見ることは難しかった。ケータイ用サイトといって、iモードだとかezwebだとか、そんなんでショボいサイトを見せられていた。確か、ウィキペディアとか見られなかったと思う。晩年のガラケーには「PCブラウザ」的な機能が付いて、見られる様になるにはなったけれど、すごく遅いし、ましてやタッチスクリーンじゃないからジョイスティック(ジョイスティック?)みたいなものでポインタをグリグリ動かしていた。
だから、初めてiPhoneに触れた時は、「そうそうこれこれ!」と思った。これが当たり前なんだよ〜、と感動した。周りの人からは「使いにくそう」とか「(物理)ボタンがないと不安じゃない?」とか色々と言われたが、まったくそんなことはなかった。しばらくして、iPhone4が出たくらいから、周りでも持ち始める人が少しずつ増えた。使いにくそう、と言っていた人たちも、こぞってiPhoneに変更していた。「私、iPhoneとか使いこなせないと思う」と言っていた人たちも、その後、みなiPhoneにした。僕の母でさえ、今やiPhoneユーザだ。
そんなこんなで、iPhoneの使い方を教えて欲しい、と言われることもあった。僕も別に詳しいわけではないけれど、一日の長というか、多少なりとも使い慣れていたからだ。といっても、「それは、そこを長押しして……」とか「フリック入力のほうが慣れたら簡単だよ(ガラケーは「お」や「こ」を入力する時にボタンを五回押さないといけなかった)」とか、そんなレベルだ。あくまで同世代か年上の人たち相手に、だ。
逆に、「機種変したら◯◯が出来なくなった」や「設定が〜」みたいなことは、あまり判らなかった。僕はパソコンもMacなので、機種変しようが何をしようが繋げば終わり、ほぼ以前のまま使えていたからだ。調べてみると、ウィンドウズでiPhoneを使うのは、ちょっと面倒くさそうだった。面倒くさそうだったので「やっぱウィンドウズってクソだなw」と言って退散した(Mac信者は嫌なヤツばかりだ)。俺は信者じゃない。
3GS→4S→5Sと買い換えてきた。だいたい二年使うとバッテリィも消耗したし、4Sは誤って落としたら画面が点かなくなった。ただ、5Sは幸いそういった事故もなく、バッテリィもギリギリ一日もつ。朝フル充電してあれば、夜寝る前に充電器に差す時には20%を少し切っているくらい。さすがに昼間に結構使っていると、もうちょっと少ないけれど、それでも電池切れになることはほとんどなかった。
だから、買い替えるタイミングがずっとなかった。使えるし不便にも思っていなかった。なにより、新しいiPhoneに、魅力を感じなくなっていた。やでもか新しいものにしなくても……、と思っていた。
(左から3GS、4S、5S、8)
3GSの画面の小ささよ! これでも当時のガラケーと比べれば大画面だったのだ。今のはデカすぎ。使いにくいよ、と思っていたけれど、ものの10分で慣れた(笑)。昨日まで使っていた5Sを小さいとさえ思う。しかし3GSが一番重いし分厚い。技術の進歩よ……!
今回買い換えたのは、完全になんとなくだ。いや、正直に言えば、さすがに動作がもっさりしてきたかな、とは思っていた。不便というほどではないけれど。あとは今更ながらApple Payかな……。もう現金からは(部分的にでも)卒業したいな、と思いまして。デートとかでもさ、小銭ちょこちょこ弄るより、スマートフォンでスマートに会計したほうが格好良くない? なんかそんなことポパイに書いてあった気がする。
ということで、ポパイの次に女の子とのデートに役立つ知識が満載の新作短編「ガールフレンド」をよろしくお願いします。
POPEYE(ポパイ) 2018年 1月号 [ガールフレンド ’18。 別冊付録:OLIVE復活!]
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 2017/12/09
- メディア: 雑誌
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ガールフレンドから一ヶ月
新作短編集「ガールフレンド」の発売から、一ヶ月が経ちました。
99円セールは予定通り、2/25までとします。その後は250円になりますので、興味のある方は是非。
Kindle Unlimited(Amazonの読み放題サービス)も対象です。
思えば軽い気持ちでこのブログで発表したニセ表紙が、思いの外、反響があって(当社比)びっくりしました(笑)。
いわゆるジョークなのですが、本気(マジ)だったら、説明文(黄色のギザギザの中の文章)の改行とかもっと拘ってますから。ホント、思いついて五分くらいで作ったので……。
まぁ、それはさて置き。
「ふさわしい場所」は先行で単品リリースしましたが、その他三作品が初出ということで、自分では「小説ガヴァドン」が一番気に入っているのですが、どうでしょう。
これは、ちょっと前に柳家喬太郎さんにハマっていたときに、氏の「抜けガヴァドン」という新作落語を聞いて、「あ、自分でもガヴァドンをテーマに一つ書いてみようかな」と思ったのがきっかけでした。最初は全然違う話を考えていて、何十年かに一度の太陽の活動期に、主人公の身の回りで荒唐無稽な出来事が起こり、それが実は後輩の書いた小説が現実化している……?、という設定のものでした。スラップスティックというかコメディというか、ハチャメチャワンダーランドっぽいノリのもので、散々振り回された挙句、その後輩に「僕の小説、面白いですか?」って聞かれて、死にそうな目にもあった主人公は逡巡の末、それに答える、というラストだったのですけど、「あー、これそうか……。そうだなぁ、どうしようかなぁ」などと考えつつ、収録された方の物語を書きました。ガヴァドンAとガヴァドンBが存在するという、図らずも本家の設定を踏襲するという偶然がありました。(ちなみにBはボツです)
発売前から、プロモーション企画ということで、「ガールフレンド」にちなんで、ユーチューブでギャルゲーの実況もやりました。二年前くらいから、そういうのを結構見る様になったんですけど、きっかけは当時PS4を持っていなくて(買うのを禁止されていた笑)、でもメタルギアソリッド5がどうしても気になるーーーーーーーーッ! ってことで見始めたのですが(結局、去年PS4を買って自分でもプレイしました)、やっぱり難しいですね。
「Doki Doki Literature Club(ドキドキ文芸部)」という作品をプレイしたのですが、全編英語だったので苦労(?)しました。まぁ、これはお戯れ程度のものですが。今後も何かにかこつけて、ちょくちょくやってみようかとも思っています(笑)。
文芸部に入部しました。
みなさま明けましておめでとう御座います。
本年もよろしくお願いいたします。
さてさて、年末のエントリにも書きましたが、1/25に短編集「ガールフレンド」を発売します〜!
小説ガヴァドン(I Wish I Was)
ふさわしい場所(A Better Place To Pray)
星のメロディ(Someday My Princess Will Come)
春の窓辺(The Long Good Day)※掌編
絶賛校正中です。おそらく間に合うかと。一つは再録ですしね。
それぞれの短編が約3万字くらいなので、掌編も合わせて全部で10万字くらいのボリュームになります。
で、発売日までプロモーション活動をしようと思っていたのですが、ちょうど、とあるゲームが話題になっていると小耳に挟みまして。
その名も、「DokiDoki Literature Club(ドキドキ文芸部)」というゲームです。
海外のパソコンゲームなんですが、ちょっと前に「SOMA」というゲームをやったときにSteamをインストールしていたので、ゲットしました。で、いわゆるゲーム実況というのをやってみようかな、と。
全編英語なのですが、何やら驚愕のラストが待っているらしいので、今から楽しみにしています。
昨日と今日で、チャプター3までやりました。判っていたとはいえ、英語に苦しめられつつも、なんとか進めています。
いまのところ、至って普通の学園モノというか日常モノで、登場人物のキャラも(良くも悪くも)判りやすい。テンプレ通りというか。英語のハードルが高い分、理解しやすくて良いんですけどね。
幼馴染のドジっ子、ツンデレ少女、文学少女、優等生、といった具合に、まさに「データーベース的」というか、ポストモダンが動物化しています(笑)。
とは言っても、幼馴染とのイベントで、昔のことを回想するシーンがあったんですけど、当たり前ですが「幼馴染」というのはゲームの設定なので、僕は記憶にないんですけど、そのことでなんかちょっとしんみりしたりと、愛着も湧きつつあります。わりと、ゲームとかストーリーにイントゥするタイプので(笑)。
なんとかクリアまで行きたいですが、少しずつ訳しながらのプレイなので、時間がかかりますね。
ということで、短編集「ガールフレンド」プロモ企画!
イケメンインディ作家はガールフレンドたちを攻略できるのか!?
「ドキドキ文芸部!」
乞うご期待〜!
動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)
- 作者: 東浩紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/11/20
- メディア: 新書
- 購入: 42人 クリック: 868回
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SAYONARA 2017
うわ、全然ブログ書いてないのに、もうこんなエントリを書く時期ですね。
みなさん、こちらではお久しぶりです。王木亡一朗です。
こんな風に年末エントリを書くのは今年で三回目ですね。
王木さんの2017年は、いったいどんな一年だったのでしょう〜。
2017年9月、短編を発表。以上。
えっ? 一冊だけ……? しかも短編一個……!
マジか。
例によって、昨年末に書いた予定(というか希望?)、いっこもやってないわ。
ただ、こういう風に年末の記事で書いたことは、あまり実現しないというジンクスがあります。(SAYONARA 2016より)
ジンクスがあります、じゃねーよ! 探偵小説なんで一文字も書いてへんし。うわ、マジか。今年の俺はいったい何をやっていたんでしょう。(ゲーム)(PS4買った)
いや、うん。ら、来年はもっと出すぞ!
ということで、新刊のご案内です。
年内には間に合いそうにもありませんが、年明け早々、新刊を出します。題名は「ガールフレンド」。3+1編の短編集です。もともと「a better place to pray」はこの短編集の先行シングル的な扱いだったので、満を辞してのリリースですね。(?)
例によって表紙を先行公開します。
ね、いいでしょ? シンプルで。
発売日は今のところ、1/25を予定していますが、もしかしたら前倒しするかもしれません。実際、「a better place to pray」は前倒しできましたし。
収録作は、
小説ガヴァドン(I Wish I Was)
ふさわしい場所(A Better Place To Pray)
星のメロディ(Someday My Princess Will Come)
春の窓辺(The Long Good Day)
です。
「春の窓辺(The Long Good Day)」は掌編です。
震えて待て〜!
今のところ、これを出し終えると、小説の予定はゼロになります。
書きたいものはあるんですけどね。
ここに書くと実現しなくなるので書きません(笑)
あと、去年の作品ですが、「Lost in conversation」の99円セールを実施しています。
こちらは「ガールフレンド」の発売日(1/25)までとします。
ヤマダマコトさんから、レビューも頂きましたし。
勝手にKDP本レビュー★51王木亡一朗「LOST IN CONVERSATION(ロスト・イン・カンヴァセイション)」: 新潟文楽工房
このセール、なぜこのタイミングかといえば、なんでしょうね。便乗?
宮崎あおいさん、結婚おめでとうございます的な。こういうセールはあんまりやらないのですが。前田亜季さんのおめでたい話題があったら、またやろうかしら。
ブログの読者登録、ツイッターのフォロー、Amazon著者ページのフォローなどなど、お待ちしておりまっす〜! 「ガールフレンド」をよろしく〜!それでは良いお年を〜!
ouki-bouichirou.hatenablog.com
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オーストラリアの狩人にはなれなかった
めずらしくベストセラー小説の感想です。売れているみたいですね。電車の中で中吊り広告もみました。「◯万部突破!」みたいな(数字は忘れました)。著者はアルファツイッタラー(?)の燃え殻さん。タイトルもペンネームもキザでウザったいですね。
糸井重里、大根仁、小沢一敬、堀江貴文、会田誠、樋口毅宏、二村ヒトシ、悶絶! 昔フラれた彼女に、間違えてフェイスブックの「友達申請」してしまったボク。43歳独身の、混沌の一日が始まった。連載中からアクセス殺到の異色ラブストーリー!
というか、こういう感じの表紙というか装丁、多すぎません? サブカルクソ野郎どストライクというか。もしかしたら同じ人なのかな。このブログでも三月にご紹介した岸政彦さんの「ビニール傘」とか、最近だとビートたけしの「アナログ」とか。いわゆるジャケ買いというか、「あ、ちょっと良いかも」みたいな感じにさせます。良いセンス、というか。
本の表紙ってCDとかレコードのジャケットに比べると総じてダサいというか、文字というか情報量が多いんですよね、無駄に。帯もそう。まぁ、無駄ってことはないんでしょうが。でもこれは、シンプルな分、写真を含めた全体に目が行くというか、本当は絵とか写真とか、それだけで情報量としてはあるんですよね。イントゥ出来るか出来ないかは別として。
それで、内容なんですけれど、これが、のっけからサムい文章の連続オンパレードで、まぁ、タイトルからして「ボクたちはみんな大人になれなかった」ですから、ある程度は覚悟していたのですが。だって、「ぼくたち」でも「僕たち」でもなく「ボクたち」ですからね! 43歳にもなって! それが「大人になれなかった」とか宣ってるんですから噴飯モノとはこのことです。ちなみに僕は朝食はシリアル派です。ケロック!
昔付き合っていた女の子にFacebookの友達申請を間違って送ってしまって、そんで昔のことをメソメソと思い出す、という内容。エクレア工場で働いていたけれど、なんだかんだでテレビ業界の端っこで仕事をすることになって、番組用の素材を配達する途中で事故って血まみれになりながら納品して、合間に円山町のラブホで彼女とセックスして、そこだけが僕のリアルだったみたいな。童貞を引きずってる敗者の下から目線というか、冒頭にも書きましたがキザでウザったい。こんなサムい文章の羅列、久々に読みましたよ。
自分からは何も行動を起こせないくせに、周囲のことは羨んでいて、でもそれは巧妙に巧妙に隠しながら、悟っているような振りをする。そんでまた昔の彼女のことを思い出して、大事に大事に傷を撫で回す。大した怪我じゃねーよ! いつまでもいじってるから治らねーんだよ! と何度思ったことか。大した取り柄はないんですけど、音楽とか映画の趣味は悪くないんです、と折に触れて挿入される固有名詞もあざとくてあざとくて。
そうやって過去を回想しながら、時折、現代の43歳に戻っては、「色々手に入れたけれど、それでも何か満たされない。ちょっと虚しい……」みたいな影をまといながら、当時の同僚というか友人と、これまたキザな会話を繰り返す。うっせーハゲ!自ら光れ! もうね、良い加減にして欲しかった。というか、いつまでお前の話が続くんだよ! 自分大好きかよ! 良いから早く終わってくんねーかな、と思って後半にかけて一気に読みました。
なんなのこれ!? あのね、こういうナルシスティックな文章は、絶対に自分のことをちょっとカッコイイと思っている人しか書けないのよ。挙げ句の果てには最後に主人公が彼女に向けたセリフ!
「ありがとう。さよなら」
マジふざけんなって。飯どころか血反吐を吐いたわ。反吐を吐くって「吐」の字が重複しますね。「竹ちくわ」みたい。竹輪! てか以前にも、主人公がこんなセリフ吐く小説読んだわ。あれもキザで被害妄想的なヤツが主人公だった。ピアノなんか弾いちゃったりして。会話に夢中〜、みたいなタイトルだったかな。
まぁ、それは良いとして、こんな小説が持て囃されているなんて世も末だな、と思った次第です。年も末ですしね。
おわり。
tofubeats - 朝が来るまで終わる事の無いダンスを(2012mix)
それはそうと、この90年代末の、というか1999年の終末感、当時中坊だった僕には若干憧れがあります。
あと、最後に一つだけ付け加えると、この「ボクたちはみんな大人になれなかった」、あんまり売れていなかったら、多分絶賛していたかもしれません(笑)。
でわでわ。アデュー。
たとえばこんなアポカリプス
牛野小雪著「聖者の行進」を読んだ。
以上、終わり。
町へ出るトンネルの出口で美男美女の二人が殺された
無軌道に犯行を重ねるまさやんと追いかけるタナカ
しかしそんな事とは別に破滅の車輪は回り始めていた
体育館で穴掘りの仕事を始めたタクヤ
ユリの手を引きながら焼け跡を歩くナツミ
二人はそれぞれ巨人と神の言葉を聞く
で良いはずもなく感想なのだが、一言で言えばヤバイ小説だった。そうか彼は今ここにいるのか、と同い年なので色々と意識している僕は思った。正確に言えば、これを書いたときの彼なので、今ではなく既に過去なのだが。
以前、ゆきなさんの「もの書く人々」という本で対談的なことをしたときに、僕と牛野さんは同い年であり性別も同じなのだけれど、ことごとく対照的というか、面白いほどに真逆(変な言葉)、つまりは正反対(こっちの方がスマートだけどインパクトは薄いよね)なのであったが、小説のある部分もそうだったことが改めて判った。
牛野作品を全て読んだワケではないのだが、彼の小説の主人公ないし登場人物たちは比較的よく移動をする。どこから来てどこへ行くのか判らずとも、とにかく前に進むのである。文字通り旅をする作品もあるし、月まで行ったりする作品もある。それらが前進なのかは定かではないが、「向いている方が前」だとすれば、やはりそれは前進だ。
方や、僕はといえば、基本的にずっと同じところにいる。そこでずっと足踏みをしてる。同じところで足踏みしているうちに、周りの景色の方が変わっていく。少し格好つければ、その場でステップを踏んでいる。ステップを踏み続けていれば、次第に上達し、少しはマシなダンスが踊れるだろう、的な。基本的にはどこにも行かず(行けず)、ただ見えている景色が違うこと(視界には入っていたけれど、今まで意識していなかったっこと)に気づく、というパターンだ。
また、以前から彼の文体には独特のものがあるな、と薄ぼんやりと思っていたけれど言葉に出来なかったのだが、『聖者の行進』を読んで、もしかしたらこういうことなのかな、と思ったことがある。今作は(とくに前半)、視点の移動が度々あって、本格ミステリなら読者から「アンフェアだ!」と言われかねない感じなのだけれど(知らないけど)、それが良い読み心地とスピード感を与えてくれる。リーダビリティも悪くない。三人称なのだけれど、例えるなら人称に小数点がついているというか。3.1人称というか、そういった感じ。未分化的というか、共感覚的なのかなぁ(言葉に出来てないやん)。
話を本編に戻すが、これは現代の、というか新しいアポカリプスだ。少年よ神話になれ、と言われたので神話になったよ、といった具合である(ん?)。一応「まさやん」という人物が主人公らしいが、どちらかというと狂言回し、ないしはトリックスターである。神話になれ、というか最後は石油になるんだけど。あ、これネタバレかな。まぁ、良いか。とにかく読めよ。俺は読んだ。
たとえばこんなラヴ・ソング_1983.06.25,26(渋谷公会堂 ライブ・テイク)
石油に火をつけろ!
ライト・マイ・ファイヤー!
からの〜、ジ・エンド!
アポカリプス・ナ〜ウ!
ということで一応ドアーズ貼ったのだけれど、牛野作品には「ドアを作る会社」というのが度々出てくる。偶然か、それとも……。