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電子書籍の思い出

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 初めて電子書籍を手にしたのはいつだっただろうか。

 ガラケーをつかっていたとき、ふとしたきかっけで、ケータイ漫画みたいなものを買って読んだことがある。スマホのように画面が大きくないので、一コマずつ簡易的なアニメーションで遷移していくような形式だったように思う。戸田誠二さんの短編や、田村由美さんのBASARAなんかを読んでいた。一話ずつ買えて、キャリア引き落としだったから、クレジットとかの登録をしなくてよかった。

 そうだ、確か風邪かインフルエンザで寝込んでいた時だったと思う。治りかけで、でも外に出る元気はなくて、でも退屈で。だから、たまたまバナー広告に出ていた作品が気になって、買ってみたのだった。よしもとよしともさんの短編もそれで読んだ気がするのだけれど、記憶違いだろうか。

 紙ではない本を買った、一番最初だと思う。

 スマホiPhone)にしてから一番最初に買ったのは、森博嗣先生のこの作品だ。

  ハードカバーとほぼ同時に、電子書籍も出ていたと思う。2010年10月だから、日本向けのKindle端末およびアプリがリリースされる二年前だ。一つのコンテンツが一つのアプリとして売り出されていた。株式会社VOYAGERによる「T-Time touch」というものだったらしい。検索してみたら、こんなページがヒットした。

:: VOYAGER Press Release 2008::

 Kindleと比べても遜色のない使い心地だったと思う。とくに不便だなとも感じなかったし、個人的にとてもグッとくる作品だったおかげもあり、「なんだ、電子書籍だって悪くないじゃないか」と印象に残った。「紙の手触りが〜」とか「紙に刻まれた歴史が〜」とか、そんなことは小説の魅力や本質には、あまり関係が無いのだな、と思った。なにせ、iPhoneを片手に、電車の中でこれを読んで、僕は涙したのだから。もちろん人前だったので、堪えたが。

 ただ、紙の本の魅力だって、僕にも判る。文庫版が出たタイミングで、僕は同じタイトルを買った(おい笑)。なんとなく、手元に置きたかった(おいおい笑)。でも、それは本質じゃ無い。

 思えば音楽だってそうだ。自慢じゃ無いけれど、やっぱりMP3とCD音源(WAVないしAIFF)は、聞き慣れた曲ならなおさら、その違いは判ってしまう。付属のイヤフォンでだって、MP3は音像が薄く、音自体が奥まったように聞こえる。それでも、胸を打たれるのことがあるのは、メディアの違いというのが、きっと本質では無いからだと、僕は思う。

  なにも、自分が電子書籍しか出していないから、こんなことを書いているわけではない。いや、どう思ってもらっても構わないのだけれど。

 

ガールフレンド (ライトスタッフ!)

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