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KDP本をいくつか読んでみましたシーズン1最終回「キミのココロについてボクが知っている二、三の事柄」

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キミのココロについてボクが知っている二、三の事柄

キミのココロについてボクが知っている二、三の事柄

 

 キミはボクにウソをつけない。

男子高校生「市原鳴海(いちはらなるみ)」は、クラス委員の優等生「新城明依(しんじょうめい)」に、衝撃的な告白をされる。過去のある事故以 来、新城の頭の中に、市原の意識が流れ込んでくるようになったらしい。テレパシーによって自分の思考がすべて筒抜けになっている事実にショックを受ける市 原。その彼に対して、新城は「キミの友達になりたい」と申し出てくる。
クラスにおいて孤立していた市原と、クラスの中心人物である新城が、強引に行動を共にするようになり、市原の心境や周辺に変化が現れ始める。市原 の片想いの相手「江藤凛(えとうりん)」との距離も縮まり、状況は好転するかのように思えたが、夏休みのある日、殺人事件が発生した。

すこし不思議系ミステリ風青春エンタ!

 

  さて、最終回です。今回の作品はこちら、「キミのココロについてボクが知っている二、三の事柄」です。略して「キミコロ」

 思春期と超能力

 高校生が主人公の本作。あらすじにもある通り、ある日突然、テレパシーが発現してしまいます。高校生と超能力といえば、タイムリープの「時をかける少女」や、同じくテレパシー(&テレポート)の「ミラクル☆ガールズ」などがありますが(年代!)、キミコロはテレパシー。一方通行であり、しかも主人公が受信側(能力者)ではないという、凝った設定になっています。

 しかも、能力者は優等生でクラスの人気者のイケメン。天は二物を与えずという言葉は何処へやら。当然、主人公はルサンチマンを抱きます。もう全開です。

 スクールカーストもの、といえば、この言葉が出来る以前から、山田詠美風葬の教室」や、最近だと朝井リョウ桐島、部活やめるってよ」や田中ロミオ「AURA」などなどありますが、カースト上位と下位の人物が、このような繫がり(テレパシー)で、どのような交流をするのか。この作品の見所の一つです。

 そして殺人事件が起こる

 あらすじにもあるので、ネタバレではないでしょう。そう、上記の特徴だけでも、成立しそうですが、さらに殺人事件まで起こります。キンドルの進行表示を見ていると、ちょうど50%のところです。(ネタバレだったらすみません)計算して書かれているのでしょう。凄いです。これに気付いた時、作者からの「さあ出揃いましたよ」という言葉が聴こえた気がして、「よっしゃ、やってやんぜ!」と、普段はやらない犯人を予想しながら読む、というのを始めました。

 解決編へ

 ただ、散々偉そうなことを書きましたが、ミステリを読み慣れていないので、純粋な犯人探しは早々に断念(笑)。キャラの特徴や登場頻度などのメタ視点で、「多分、こいつが犯人だ!」という目星をつけるという、目も当てられない推理をしてしまいました。二時間ミステリドラマとかで、「この大物俳優が、こんなちょい役で出ているわけが無い!」みたいなダメ推理をして、胸を張っていたら見事にひっくり返されました。そうです。ハズレです。やられました。完敗です。そして、キミコロに乾杯!(長渕!)

 

 コミュニケーション?

 コミュ障という言葉が流行っている昨今、コミュニケーションという言葉は、随分と胡散臭い文脈で使われるようになりました。コミュニケーション能力がどうのこうのと、大人も子供も、猫も杓子も躍起になっている時代。ミスエデュケーションじゃないか、と個人的には思います。酷いと「人間力」なる意味不明な言葉まで飛び出してくる始末。おっと、レビューをしているのに愚痴を書いてどうするw

 しかし、僕はこの作品を通じて、そんなことを考えてしまったのでした。もちろん、作品として楽しみました。プラスαで、という意味です。

 言葉や考え、意味が伝わらないとき、それこそテレパシーなんかがあればな、と僕も思うときがあります。あらゆるメディア、言葉を使っても、伝わらないものは伝わらない。本当に伝わっているか、完全に確かめる術も無い。

 

 負けないこと逃げ出さないこと投げ出さないこと信じ抜くこと

 負けるし逃げ出すし投げ出すし信じぬけないのが青春(人生)です。それは、もしかしたらみんなそうなんじゃないか、とお互いに気付く。テレパシーを越えた先にある、爽やかなラストに、あぁ、これは紛れもなく「すこし不思議系ミステリ風青春エンタ!」だ、と感じました。

 読後感が良い。悪者が退治されて溜飲が下がる、というのとは全く逆の爽快感。マジ話ですが、この作品を読み終わった後、高校のときの夢を見ました。脳内再生するときに、どうしても自分の母校のイメージを引っ張って来るからですかね。いやー、良かった。オススメです。

 

 余談ですが

 この作品、X-Rayという、キンドルの新機能が適用されています。詳しくは判らないですが、人気作に随時適用されているのかな? いいなー、凄いです。