自選短編集「アワーミュージック」が出ました。
王木亡一朗自選短編集「アワーミュージック」
短編集「他人のシュミを笑うな」「LaLaLaLIFE」「kappa」から、一作ずつ、月刊群雛04月号に掲載された「母の上京」、表題作の書き下ろし短編「アワーミュージック」を収録した短編集です。
「アワーミュージック」
——本を読まない人の言葉って、陳腐じゃないですか?
母校である美大の修了制作展で、私は、とある女の子と出会う。
彼女は、キャンパスいっぱいに、物語が綴られた作品を展示していた。
「母の上京」
夏の終わりに電話をかけてきた母は、東京観光に連れて行って欲しいと、僕に言った。
母と二人で出かけることに、多少の照れがあった僕だが、彼女を連れて、出かけることにした。
「明子先生の結婚」
明子先生は、本当に良い先生だった。
だから、彼女には、ずっとそのままでいて欲しかった。
「不揃いのカーテンレール」
夏の日の夜、僕は耐えきれなくなって部屋のカーテンを引きちぎる!
「Any Day Now」
人生お休み中の俺は、公園で孤独なガキに会う。
夏に出した長編のサンプル集「THE BEST」の続編(?)で、今回は短編の寄せ集めです。以下、収録順に、ご紹介。曲は、内容とは深い関係はありません。DJ感覚です。
「母の上京」
月刊群雛2014年04月号に掲載された短編です。(群雛も一周年ですね。まだまだ続くだろうから、あえてこの表記にします)
ほとんど唯一の「ですます調」の作品です。口調とか文体って、難しいですが、この作品の場合は、「距離と距離感」を表現したかったのと、小津安二郎っぽい(僕の偏った思い込みですが)、レトロな雰囲気にしたかったのです。ちなみに鳥屋野潟は奥に行くとラブホ街です(こら!)
BGM
John Lennon - Mother (Live) (HD) - YouTube
「明子先生の結婚」
これは「他人のシュミを笑うな」という連作短編集の一編です。この「他シュミ」はですね、「俺は電車でスマホゲームやっている奴らを軽蔑する」と友人が言っていて、そのことをずっと考えている時に思いついた3つのお話が入っています。
ちなみにイギリスではクラブでABBAをかけると、「結婚式のDJかよ〜w」とからかわれるそうです。
BGM
Abba - Dancing Queen - YouTube
「不揃いのカーテンレール」
連作短編集「LaLaLaLIFE」からの一編です。「暮らし」をテーマにした短編集です。
「LIFE」という単語、日本語だと、「命、人生、生活」と、微妙なニュアンスのレイヤーを織りなす言葉で、好きです。
ちなみに「人生、宇宙、そして万物の究極の答え」は42だそうです。計算で導かれます。ためしにグーグル電卓機能で計算してみてはいかがでしょう?
ディープソートというコンピュータでは計算に750万年かかりますが、グーグルだと一瞬です。
BGM
「Any Day Now」
短編集「kappa」に収録されています。タイトルは↓です。まんまですね。
でもanyのdayがnowって、良い言葉ですよね(伝わるか?)
BGM
I Shall Be Released (The Band) - YouTube
「アワーミュージック」
表紙のタイトルはなぜフランス語なのでしょうね?w
まぁ、すごーく隅っこの方でやっているとはいえ、物を書いている人間が、「本を読まない人は底が浅い」なんて書くのは、烏滸がましいかもしれませんね。まぁ、書きますけど。ただ、小説の中の人の発言は、あくまで小説の中の人の発言なのでね。
僕が個人的に思っていることで、似たようなことといえば「過去の音楽に敬意を払ってない音楽はゴミ」でしょうかね。敬意じゃなくても良いんですけど。それこそアンチでも。ただ、なんにでも歴史というものはあって、それはただの記録ではない、と僕は考えます。あらゆる分野において、一握りの天才が、天から降ってきたものを、ポッと出した、なんてことはありません。「本を読みなさい、音楽を聴きなさい、映画をみなさい……etc」というのは、そういうことかもしれないな、と思うのです。年寄りがよく言っていますけどね! どうも若年寄です。なんつってなっ!
BGM
Keiichiro Shibuya - ATAK015 for Maria - Our Music ...
天才は時代を作らない。