コンコルド
落ち込んだ時に、Wikipediaのコンコルドのページを見る。
何故かって? それはまぁ、色々と理由はあるけれど、とにかく落ち込んだ時には、コンコルドの詳細を読む。
超音速旅客機として開発されたコンコルド。空を高く、早く飛ぶために設計された機体は、とても美しい。
飛行機の美しさは、そのまま性能の良さなのだ。
飛ぶためには、余計なウェイトは乗せられない。だから、飛行機の美しさには、飾りがない。醜さを誤摩化すための、修飾がない。ただ飛ぶためだけに洗練されたフォルム。それが飛行機の形だ。
しかし、コンコルドは、充分に空を飛ぶことのないまま、その役目を終えてしまう。
騒音問題だとか、環境負荷、開発の遅れと価格の高騰。色々と理由はあるだろう。最後のコンコルドが役目を終えた2003年は、ちょうどインターネットが広く普及したころだ。直接会わなくても、世界中の人たちとコンタクトを取ることが出来る。情報の伝達も、あっという間になった。
どれだけ早く高く飛べようとも、どれだけ美しくとも、ニーズがなければ消えていってしまう。運用や維持にはコストがかかる。だから、それは仕方がない。
けれど、一方的な合理性だけでは、本当に美しいものは、いずれ全て無くなってしまうだろう。
大勢に認められることはすばらしい。誰にでも出来ることではないし、価値のあることだろう。けれど、ある種の良さというのは、大勢には伝わらない。それが「良い」「凄い」と分かるためには、受け手の能力も問われるのだ。
そうやって消えていったモノの中に、コンコルドがある。そうやって消えてしまったものを、想うことで、僕はなんとか心を起き上がらせるのかもしれない。
コンコルドと言えば、昔、テレビで流れていたCMに印象深いものがあった。
今は製造中止になったポラロイドカメラのスチール映像。
冬のある日、彼女は大好きなサーフィンに行った。
その帰りに食べたパンの穴から空を見上げると そこには今はもう飛んでいないはずのコンコルドが飛んでいた。
誰かを好きになる。
何かを好きになる。
なぜその人やモノを好きになるのか?
理由を説明するのはむずかしい。
たぶん本能や記憶を刺激するような何かを その相手から感じるのでしょう。
好きなものは記憶を刺激する。
好きな事をしよう。
好きな人と過ごそう。
理由なんてどうでもいいから。
そんなシンプルな生き方をする人を
キユーピーハーフは応援します。
余計な飾りのない、コンコルドのようなシンプルな美しさを、たまに思い出す。
複雑で、しがらみだらけの生活をしている証拠だ。
でも、だからこそ、たまに思い出せるのだ。
それはそれで、悪くない。と思うことにしよう。