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オーストラリアの狩人にはなれなかった

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 めずらしくベストセラー小説の感想です。売れているみたいですね。電車の中で中吊り広告もみました。「◯万部突破!」みたいな(数字は忘れました)。著者はアルファツイッタラー(?)の燃え殻さん。タイトルもペンネームもキザでウザったいですね。

ボクたちはみんな大人になれなかった

ボクたちはみんな大人になれなかった

 

糸井重里大根仁小沢一敬堀江貴文会田誠樋口毅宏二村ヒトシ、悶絶! 昔フラれた彼女に、間違えてフェイスブックの「友達申請」してしまったボク。43歳独身の、混沌の一日が始まった。連載中からアクセス殺到の異色ラブストーリー!

 

 というか、こういう感じの表紙というか装丁、多すぎません? サブカルクソ野郎どストライクというか。もしかしたら同じ人なのかな。このブログでも三月にご紹介した岸政彦さんの「ビニール傘」とか、最近だとビートたけしの「アナログ」とか。いわゆるジャケ買いというか、「あ、ちょっと良いかも」みたいな感じにさせます。良いセンス、というか。

 本の表紙ってCDとかレコードのジャケットに比べると総じてダサいというか、文字というか情報量が多いんですよね、無駄に。帯もそう。まぁ、無駄ってことはないんでしょうが。でもこれは、シンプルな分、写真を含めた全体に目が行くというか、本当は絵とか写真とか、それだけで情報量としてはあるんですよね。イントゥ出来るか出来ないかは別として。

 それで、内容なんですけれど、これが、のっけからサムい文章の連続オンパレードで、まぁ、タイトルからして「ボクたちはみんな大人になれなかった」ですから、ある程度は覚悟していたのですが。だって、「ぼくたち」でも「僕たち」でもなく「ボクたち」ですからね! 43歳にもなって! それが「大人になれなかった」とか宣ってるんですから噴飯モノとはこのことです。ちなみに僕は朝食はシリアル派です。ケロック!

 昔付き合っていた女の子にFacebookの友達申請を間違って送ってしまって、そんで昔のことをメソメソと思い出す、という内容。エクレア工場で働いていたけれど、なんだかんだでテレビ業界の端っこで仕事をすることになって、番組用の素材を配達する途中で事故って血まみれになりながら納品して、合間に円山町のラブホで彼女とセックスして、そこだけが僕のリアルだったみたいな。童貞を引きずってる敗者の下から目線というか、冒頭にも書きましたがキザでウザったい。こんなサムい文章の羅列、久々に読みましたよ。

 自分からは何も行動を起こせないくせに、周囲のことは羨んでいて、でもそれは巧妙に巧妙に隠しながら、悟っているような振りをする。そんでまた昔の彼女のことを思い出して、大事に大事に傷を撫で回す。大した怪我じゃねーよ! いつまでもいじってるから治らねーんだよ! と何度思ったことか。大した取り柄はないんですけど、音楽とか映画の趣味は悪くないんです、と折に触れて挿入される固有名詞もあざとくてあざとくて。

 そうやって過去を回想しながら、時折、現代の43歳に戻っては、「色々手に入れたけれど、それでも何か満たされない。ちょっと虚しい……」みたいな影をまといながら、当時の同僚というか友人と、これまたキザな会話を繰り返す。うっせーハゲ!自ら光れ! もうね、良い加減にして欲しかった。というか、いつまでお前の話が続くんだよ! 自分大好きかよ! 良いから早く終わってくんねーかな、と思って後半にかけて一気に読みました。

 なんなのこれ!? あのね、こういうナルシスティックな文章は、絶対に自分のことをちょっとカッコイイと思っている人しか書けないのよ。挙げ句の果てには最後に主人公が彼女に向けたセリフ!

 

「ありがとう。さよなら」

 

 マジふざけんなって。飯どころか血反吐を吐いたわ。反吐を吐くって「吐」の字が重複しますね。「竹ちくわ」みたい。竹輪! てか以前にも、主人公がこんなセリフ吐く小説読んだわ。あれもキザで被害妄想的なヤツが主人公だった。ピアノなんか弾いちゃったりして。会話に夢中〜、みたいなタイトルだったかな。

 まぁ、それは良いとして、こんな小説が持て囃されているなんて世も末だな、と思った次第です。年も末ですしね。

 おわり。

谷商店の竹ちくわ  703

谷商店の竹ちくわ 703

 

 


tofubeats - 朝が来るまで終わる事の無いダンスを(2012mix)

 

 それはそうと、この90年代末の、というか1999年の終末感、当時中坊だった僕には若干憧れがあります。

ノストラダムス・ラブ (IKKI COMIX)

ノストラダムス・ラブ (IKKI COMIX)

 

 

 あと、最後に一つだけ付け加えると、この「ボクたちはみんな大人になれなかった」、あんまり売れていなかったら、多分絶賛していたかもしれません(笑)。

 でわでわ。アデュー。

Lost in Conversation

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