群雛文庫で「母の上京/悲しみ」が発売されました。
というわけで、こちらです。kindle版をはじめ、各電子書籍ストアにて配信中です。
- 作者: 王木亡一朗,0.9Gravitation(デザイン),鷹野凌
- 出版社/メーカー: NPO法人日本独立作家同盟
- 発売日: 2016/03/17
- メディア: Kindle版
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表紙のイラストは群雛2016年1月号の表紙を担当された蒼真怜さんに書いていただきました。感想もいただいております。ありがとうございます!
今まで表紙はずっと自作だったので、こうして誰かに作ってもらうというのはとても新鮮で感慨深かったです。というのも、読んだいただいた上で、登場人物の一人を書いていただいたわけで。この作品に関しては、キャラクターの外見描写って、ほとんどしていないんですよ。その上で、絵にしてもらうというのは、それだけで最高の感想なわけです。ちなみに、描かれているのは「悲しみ」の方の登場人物である薫子(かおるこ)ですね。
初出は月刊群雛2014年4月号および5月号。ですので、書いた時期は同年2〜3月です。もう二年前ですね。
「母の上京」に関しては、新宿の紀伊国屋さんに「かつしか文学賞」という葛飾を舞台にした小説を募集しているローカルな文学賞のポスターが貼ってありまして(応募はしていませんけど)。「そういえば、母親と浅草寺にいったことがあるな〜」なんてことを思い出して、書きました。まぁ、大分脚色したので、実際のこととのリンク率は10%以下ですが。今回確認で読み返したんですが、初めての群雛参加作品ということで、「ツメ跡残してやる!」じゃないですけれど、気合いというか、それまで書いていたものとは違う文体で挑んでいたのが、微笑ましかったです。あとは、カギカッコ会話文は最後の節まで使わないぞ、みたいな意地もw
「悲しみ」の方は、本当に何気なく思い浮かんだアイディアがちょうど1万字くらいで収まるかな、とすんなり書けたことを覚えています。なんなら初稿は一日で出来たんじゃないかな。悲しみとか、感情って一種類のベタ塗りじゃなくて、いろいろグラデーションしているよな、みたいなことをなんとなく思いながら書いていたことを覚えています。あと、サリンジャーに言及しているので、ちょっと恐れ多いな、とか。この作品は、なんていうか、こう、クスッ、としてほしいですね。
今回、帯にもありますが、「未熟な人たち」というのが、一つのキーワードになっています。書く前から想定していたわけではありませんが、この二つを改めて並べてみると、この言葉が浮かんできます。
未熟であることを肯定しているわけではないんですよね。でも、なんていうのかな〜、例えば村上春樹さんの小説の登場人物とかが、ナルシスティックで人間的に成熟していないとかなんとか、言われることがあるじゃないですか。氏の作品を好きな人たちを含めて。でもそれってなんかモヤっとするよな〜、というか。いや、それって当たってるし正しいとも思うんですけど、なんかな〜、という。未熟な人たちは、それゆえに周りの人たちを傷つけてしまったりするし、それは自分の身の回りにあったらハタ迷惑なんですけど、「お前がそれを言うのか!」ってときの怒りって、ちょっと引いてみると、「お前がそれを言うのかw」みたいな笑いになるというか。そういう状況を主観人物が客観的に見れたときに、面白みがあるというか。ベタ塗りだと思っていた感情にも、実はグラデーションがあって、正反対の感情に繋がっている感じ。対極だと思っていたけれど、実は裏表だったりすることって、あると思うんです。
???
まぁ、もう自分でもワケが判らなくなりましたがw
自分の作品を解説するのって、サムいな、とも思うのですが、二年前のものだし、新刊と言っても再録なので、蛇足ですが少しだけ書かせていただきました。
あと、蛇足ついでに宣伝をw
noteなどで連載していた「Our Numbered Days(アワ・ナンバード・デイズ)」が先日、完結しました。
こちらもよろしくお願いします。
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