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KDP本をいくつか読んでみましたシーズン1第七回「止まない霧」

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止まない霧

止まない霧

 

 母の入院をきっかけに実家に戻った上沼健太(かみぬまけんた)は、高校時代に初恋を抱いた女性を地元で見かける。しかし一度きり話しただけの他校の生徒だったため、話しかけることはできなかった。
自分の半生、うだつの上がらない青春時代を振り返り、踏ん切りがつかず、いつまでも後悔を引きずる自分に嘆いていた。しかし兄のおかげで、ひょんなことから彼女と再び会い、他人行儀ながら話すことができた。そして今度また会える口実を手に入れる。
なけなしの勇気を使い、彼女と普通に会話をして、自分のことを覚えているかどうかを聞こうと躍起になる。しかし、その過程である事件が起きる。

 

 女々しくて切ない(褒め言葉)。

 第一声がそれか、と自分の感性というか感想を述べる能力を恨みたいですが、ある種のシンパシーを抱きました。というのも(自分語りが始まりますよ〜)、僕が人生で初めて書いた小説も、「初恋」をテーマにした物語でした。

 まぁ、僕の方は「秒速5センチメートル」と「ノルウェイの森」を足して2で割って、小説の書き方なんて全然わからなかったから、プロットも作らずに高校時代の回想と現在を行ったり来たりして、都合が悪くなったら登場人物増やして、とにかく10万字書くのが目標だったから、無駄に料理したり、ビートルズ聴いたりと、散々でした(笑。黒歴史!)。

 あらすじにある「ある事件」以降は、怒濤の展開ですが、それ以前の日常の雰囲気が好きです。なんとなく夏目漱石っぽい印象を受けました。(厳密にいえば、映画版「それから」)

 特に印象的だった言葉は、

“そんなもので喜びが上乗せされるわけがない。最初から懸命に応援している人間の方が、遥かに喜びは上だろう”

 という部分。そのすぐ後、主人公は「意を決して」とある行動をとるのですが、それがもう女々しい(笑)。でも、わかる……!

 クライマックスは、それまで何気なく描写されていたモチーフが結実(?)し、結末は「止まない霧」というタイトル通り。

 女々しくて切なく(褒め言葉)、紙の本だったら、しばらく背表紙を噛み締めているでしょう。